ロードバイクレースが個人戦でなく団体戦である理由

ロードバイクレース

ロードバイクレースがチーム戦ということをよく知らなかった頃は、「一番でゴールするだけなのに、何でチーム戦なんだ?」と感じていました。

絶対的に強い人がいれば、チームの実力など関係なく勝てると思ってましたが、ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアなどの長期間を戦うグランツールと呼ばれるレースでは、チーム戦が非常に大切なことが分かるようになりました。

その理由をロードバイクレース未経験の方にお伝えします。
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ロードバイクレースのチーム編成と狙い

長期間を戦うロードバイクレースは、チーム内で明確な役割分担がなされています。

その役割分担を5つに分け、内容と意図をお伝えします。

エース

総合で優勝を狙うチームには必ず据えられているのが「絶対的なエース」です。

エースの役割は総合上位を狙う各チームのエースとタイム差がないようにゴールすることが全て。

自分が有利なポジションに位置取りするため、アシストを使いポジションを維持することに集中します。

絶対にタイムを落とすことが許されないので、タイムトライアルで遅い選手、ヒルクライムで遅い選手はエースになることができません。

ただ、全てのチームが総合で優勝を狙える訳ではないので、チーム事情によってはエースを設定していない場合もあります。

アシスト

エースを勝たせるために全てを犠牲にする重要な歯車。

圧倒的に強いエースが一人いても、パンクや落車などのトラブルは必ずあります。

そのようなとき、遅れたエースを先頭集団に戻すため自分はリタイヤしても献身的にエースに仕えるのがアシストの役割。

アシストはレース全体の状況を把握しておく必要があり「先を読める力」なども必要です。

例えば総合上位の選手が集団から逃げることを考えていそうな場合は、集団先頭付近でアタックをつぶすため位置取りしたり、エースの状況によっては集団のペースを上げて総合上位を狙うチームを振るい落とすことなど実施します。

もちろん監督からの指示はありますが、レースを作っているのは走っている「アシスト」達の意思です。

それがロードバイクレースの面白さですね。

逃げ狙い

ツール・ド・フランスなどのグランツールでは、総合優勝を狙える選手がいないチームが多いです。

スタート直後から逃げを狙う選手がいますが、その多くが総合優勝レースに関わらないチームの選手です。

これは「あわよくばステージ優勝」を狙う逃げもありますが、ほとんどが「スポンサーアピールのため」です。

だいたいが残り10キロくらいで集団に吸収されることになります。

山岳賞狙い

チームの中でヒルクライムに特化している選手がいた場合、山岳ポイントを一番多く獲得した選手が手に入れられる山岳賞を狙うこともあります。

ヒルクライムを得意とする選手は一般的にタイムトライアルが弱いので、総合上位に入ることが難しいためチームのエースとなることはあまりないですが、山岳賞を取るためにアシストが機能する場合があります。

まとめ

ロードバイクのレースを本格的に見て分かるようになったのは「サクリファイス」というロードバイク小説のおかげです。

選手たちの心境や駆け引き、アシストの考え方やエースの孤独がヒシヒシと伝わってきます。

ロードバイクレースはドラマがたくさん詰まっているので、是非一度ご覧になってください!