コーチングで大事なのは、「コーチング対象者が自分で気がついていない問題解決方法」を自発的に見つけられるようにフォローすることですが、これがなかなか難しいです。
問題解決方法を「4つのステップ」で分かりやすく解決する方法を具体的な例でお伝えします。
具体例:ロードバイクトレーニングをしているがレースで入賞できないAさん
サンプルとして、ロードバイクのトレーニングをはじめて2年半になるAさんを例に挙げます。
週に5日はロードバイクのトレーニングを実施しています。
Aさんは何かのレースで入賞したいと考え去年1年間は10のレースに参加しましたが目標の入賞はできていません。
ステップ1:事実を集めて把握する
まずは問題に対してどのような状況なのか、客観的な事実を集めることからはじめます。
Aさんの場合、週に5日もロードバイクトレーニングをしているのにレースで入賞できないことが問題です。
まずはその問題に関係する事実を「客観的に」列挙してみます。
<客観的な事実>
・レースでは集団に遅れゴール前で失格となることが10レース中6回あった
・レースはクリテリウム、ロードレース、ヒルクライムとさまざまなレースに出場
・一ヶ月に1000キロ以上走ることを目標にしている
・週5日走れないときは、土日で150キロ以上走り帳尻合わせしている
・すべてのレースで入賞を目指している
・レースで集団についていけなかった理由がよく分からない
・チームに属してはいないので普段集団走行することはない
・食べ物には特に気を使っていない
・睡眠はだいたい4時間〜7時間程度
・休むと遅くなりそうなので、できるだけ毎日ロードバイクに乗っている
事実を分析する
事実を見ると、Aさんはロードバイクトレーニングの目標が「速くなる」ことではなく「1000キロというノルマを超える」ことになってしまっています。
レースの分析もきちんとできていないので、Aさんは何が足りないのか自分では分かっていない状況です。
さまざまなレースに参加するのは良いのですが、ジャンルが違うレース全てで入賞を目指すのは難しいでしょう。
解決案をいくつか作る
Aさんはレースのスピードについていけない状態です。
まずは、過去のレースで最後までついていけたレースのジャンル(ここではクリテリウムにします)にしぼり、そのレースで必要なレーススピードを上げていくトレーニングを実施することを解決案として一緒に考えます。
・クリテリウムレースは上げ下げが多いのでインターバルトレーニングを増やす
・今年の目標とするクリテリウムレースを3つにしぼる
・平坦レースなので体重は気にせず、筋トレでパワーをつける
・月間1000キロという目標は止め、インターバルトレーニングの質を高める
・パワーメーターの導入を検討する(質の可視化)
・室の高いロードバイクトレーニングを週2〜3回実施する
解決案のなかから最適な方法を選択する
これは例なのでどの解決案が良いか実際には分かりませんが、コーチング対象者と一緒に考えていきます。
例えば「パワーメーター導入」は効果的ですが、経済的な理由で購入は難しいかもしれません。
このように、挙げた解決案から最適なものを選択する方法は、状況により変わってきます。
ここまでコーチング対象者Aさんと共に考えれば、Aさん自身が「問題をこの方法で解決するんだ!」という意識が芽生えていることでしょう。
問題解決方法4つのステップまとめ
コーチングで大事なことは「気づきを与える」ということです。
そのため、この4つのステップはコーチング対象者と一緒に考える必要があります。
通常、コーチは対象者と協議して考えることを放棄し、自分の中で全て考えてしまいます。
その方法が良い局面もありますが、本当のコーチングは対象者が自分で考えるプロセスが大事なので、必ず一緒に実施するようにしましょう!
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