ロードバイクレース観戦が10倍楽しくなる本「エスケープ」のご紹介

エスケープ
エスケープ

「エスケープ」という2014年ロードバイク全日本選手権をまとめた本を読みました。

ロードバイクレースの最中にどんなドラマが繰り広げられていたのかが分かる本。

読めば10倍以上はロードバイクレース観戦が楽しめるようになる、その理由をご紹介していきます。

レース後に当事者(選手)へのインタビューを実施し、チームごとの戦略や選手ごとの思惑が手に取るように分かる素晴らしい本なのでご紹介します。

[ad#ad-1]

ロードバイクレース観戦の難しさ

ロードバイクレースが他のスポーツと違っているのは「戦略が見えにくい」こと。

野球やサッカーなら場面や状況により展開が変わり、両チームが仕掛けている戦略がなんとなく見て取れますよね。

一方でロードバイクレースを生で観戦しても、一瞬で目の前を通り過ぎるだけで何が起きているか分かることは稀。

平坦なコースではゴール直前までは集団でずっと進むこともあり、ゴール前でのスプリントくらいしか面白くないかも。。

実際にロードバイクレースで起きていること

ところが、実際のロードバイクレースの現場(?)では、ありとあらゆることが起きています。

単純に集団のなかでぬくぬくしている感じでも、先頭から10番目くらいの皆が殺到するポジションは左右から被せられてくるためすぐに順位が30番手くらいになります。

これを避けるためには先頭付近でローテに加わるくらいしか方法がないのですが、先頭を引くと集団内部にいるときよりも1.5倍くらいパワーを使うのでできるだけ引きたくない。

しかも、先頭交代している選手がみな引きたくないと考えると集団のスピードが遅くなり、先頭付近にいても後ろから被せられてしまい集団がまとまらない、という事態に。

 

さらにある程度のスピードで集団が走っていると、コーナー立ち上がりなどで前の選手から切れてしまう「中切れ」が発生し集団が分断することも。。

中切れしてしまった選手を追い越し前方に追いつくことは非常に大変で、通称「中切れ処理」と言われています。

ロードバイクレースの集団で真ん中から後ろあたりは中切れが頻発するので、みな集団の真ん中より前目に位置していたい。

その思惑や脚力差があるので、集団内のポジションを維持するだけでも結構神経を使い頭を使っているのがロードバイクレースです。

今年のツールドフランス第2ステージでは、ものすごい風により集団が中切れし先頭集団は30人ほどに絞られました。

序盤の第2ステージで総合順位争いに大きな影響が出ましたが、これもロードバイクレース特有の集団走行の難しさが原因。

「エスケープ」で集団内のかけひきを知ることができる

今回紹介する「エスケープ」という本は、2014年のロードバイク全日本選手権を題材にし、「集団内部でどんな動きがあったのか」「先頭集団で逃げている選手は何を考えていたのか」といったことが取材によりまとめられています。

基本的に全日本選手権はチーム戦なのでチーム同士の駆け引きが主。

とはいえ、無線が使えない全日本選手権は同じチームの選手間でも意思疎通ができないので「チームのエースが集団にいる状況で逃げに入っている自分がどのように走ればいいのか?」といった葛藤があったり。

私も自分が毎月のようにレースに出ているので「おそらくそうだろうなー」と漠然とは思ってましたが、国内トップレベルチームがどのような戦略でロードバイクレースに臨んでいるのかが分かり、集団内での駆け引きを想像する楽しみが増えました。

この本を読んでからブエルタ・ア・エスパーニャの中継を見たところ、今までと全く違った視点でレースを楽しめました。

「この選手とチームは逃げに対してきっとこんな戦略があるんだろう」といった想像を働かせる感じですね。

ただ、想像できることが増えると頭がちょっと疲れますが ^^;

ロードバイク選手に関する小ネタ

エスケープは単なるレースのドキュメンタリーだけではなく、ロードバイク選手に関する小ネタがふんだんに書かれています。

一番驚いたのは、国内トップ選手レベルでも年俸はそれほどもらってない様子が分かったこと。

年収○○○万円以上の選手はおそらくトップ30名くらいだ、と書かれていた数字が結構低いです。。

もちろんレースの獲得賞金などは別途入るでしょうが、国内レースの賞金は高くても数十万円だったはず。

プロスポーツ選手として考えると、ロードバイク選手は日本国内ではかなり過酷な状況なようです。

そういった内輪ネタ的な小ネタも本書では書かれているので、プロロードバイク選手の実情を知る良い機会になるかもですね。

※そういえば、近所に住むかなり強いトップレベル選手もバイトしながらレースに出られてたことをブログで知りました。。

まとめ

私自身、ロードバイクレースの本当の面白さは競技をはじめて3年を経過し、やっと分かってきた感じ。

レース経験を積んできて分かってきたことの多くが「エスケープ」には書かれてます。

普段、ロードバイクレースの面白さを知らない人に説明するのに苦労しますが、この本を読んでもらえれば十分理解してもらえる、そんな本です。

連休も終盤ですが、機会があったら手にとってみてはいかがでしょう?

2件のコメント

こんにちは。sakurakasaneです。
私もこの本買いました!
合わせて「土井雪広の世界で戦う為の〜」も買いましたが、茨城の被災で書店が浸水しまして、まだ取りに行けていない状況です。本、楽しみにしています!

ちなみに、私の家は被災しておりませんが、通勤経路が寸断された事、従業員も数人被災しております。
全国からボランティアの方々が来てくれて、本当に助かっているみたいです。ありがとうございます。とこの場を借りて、お礼を言わせて頂きます。

sakurakasaneさん、ありがとうございます!
こちらの本、購入されたのですね! とても良い本ですので期待を裏切らないと思います。

sakurakasaneさんがお住まいの地域が、今回の水害の影響が大きい地域だったのですね。。
いち早い復興をお祈りしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です